「あと二つ」
「このフレンチマカロンと奥州ピーナッツマコロンを食べ比べること」
「胡瓜とツナのサンドイッチとトマトとチーズのサンドイッチのどっちが好きか述べること」
「願い事3つっていうのは仏の顔も三度までと関係がありますか」
「仏? えーと、それが願い事なら調べてくる」
「願い事はいいわよ、ゆっくりお茶にするのが願い事」
綿帽子もラベンダーモーブも、妖精がニンゲンに願い事しか言われたことがないのがよーくわかりました。さっさとすませてしまおうと思っているのも。
「あんたたちの作法では招かれたお客が話をして楽しませるんだったな」と白巻貝。
「どういうお作法?」綿帽子は驚きました。
「そういうところもあります」
「聞いたこともないわ。『話をして楽しませる』って難易度超ハイレベルじゃない?」
「そのお茶に眠り薬を入れるつもりかい? 寝たら拘束して3つ以上かなえろっていうんだな」と白巻貝。
「カフェイン飲料じゃないほうが良さそうよ」と綿帽子。
「眠り薬はもってません」と暁鼠(あかつきねず)。
「日に当るとすっきり目覚めるお薬を姉さまが持ってた気がする」
「お茶にしましょう」とヘリオトロープが言いました。サモワールを取り出しています。
「サモワールなんて見たの久しぶりだよ。それロシアではもう絶滅したよね」と白い巻貝のような帽子の妖精がいいます。
電気ポットにとってかわられたのです。
「ここで見といたほうがいい名所ってどこですか」
「願い事は何」
「言葉が通じるのはいいけど、質問と食い違ってない?」と綿帽子は思いました。
「願い事妖精は見つかったら願いをかなえなきゃならないのさ、ニンゲンはそう信じてるから」綿帽子の気分がわかったようです。
「願い事をしなきゃいけない感じがしない? 3つ目で元の木阿弥になるタイプの」綿帽子は口を尖らせました。
「もう、ピンク色の校倉造行き切符を願えばいいよ」