「うっそうとした森ね。木しか見えないわ」
木星だけに。
「水の流れる音がする。どこかに小川があるんだわ。どっちから聞こえてくるのかがわからないわね。地球にだって森はあるんだから、そうよ、ここにだって森じゃないところもあるのかもしれない。樹海は木ばっかりじゃなくて、髑髏が落ちてたりするけど、そんな飾りはここにはないわ」
綿帽子は自分に向かって喋ってるみたいでした。虫の声にかき消されるし、ヘブンリーブルーはうっとりとそこらを眺めていて全然返事をしないのです。
「全く誰にも会わなかったらそれを幸せと断定せざるをえないって人なら、きっとここが気に入るでしょうね」