「どこに連れて行こうって言うの」と綿帽子は喧嘩腰で申しました。
「君の行きたいとこならどこでも」と空色は言いました。
「それは『連れて行く』と言わないわ。『ついて行く』というのよ」
「何とでも」
「私は木星に行くの。あそこはガス惑星で、地面なんかないのよ」
「なら、ハイヒールを履いて歩いても、雲の上を歩くみたいで、足が痛くはならないよ」
「ハイヒールは、あなたのでしょう」
「僕のじゃない。君が履いてないのも知ってる。そのストラップつきの丸い靴は可愛いね」
懸命な皆さまはもうおわかりのように、靴をかたっぽ落としたとしても、両方落とすよりはましなのです。ハイヒールを片方落としたら、ちょっと歩きにくいでしょうね。
それによっぽどのことがなくても、靴を片方落とす人はいます。シンデレラとか。
「何の中から出てきたの?」と綿帽子は聞きました。
「ハイヒールの中から」と水色髪の男の子は言いました。
「ハイヒール?」
「ハイヒール。踵の高い靴です。トゥ先は尖っていました」
ハイヒールが何であるかは知っていたので、花曜はちょっとむっといたしました。「誰が履いてたの」
「落ちてました。道に、かたっぽだけ」
「靴をかたっぽだけ落としていくなんて、よっぽどのことがあったのね」
向日葵を追って行くと中から髪が水色と紫の中間の色の男の子が現れました。
「この子を連れて行こう。もてあまされてそうだから、きっと騒ぎにならない」
その頃九次元では、木星がかんかん照りの道を急いでいた。汗はかかずに舌を出す犬のように、オーロラを出して体を冷やすのだ。
オレンジ色の西風(ゼフュロス)を探して、どうしても日付より前にお茶会の招待状を突きつけなくては。
「西から来るんだから西に住んでるんじゃないの」
「小さい子にお話を聞かせるのはいいわよ」と綿帽子は考え深げに言いました。
「そうだね。ドリトル先生や不思議の国のアリスはそうしてできあがったらしいよね」と手袋屋が言いました。
「CPUにお話を聞かせるって、ありかしら? 『ドリトル先生』が『お話』であることさえわからないのよ」
「『ドリトル先生』と『お話』という単語がよく一緒に出てくることくらいは知ってるかもしれない」
「きっとありよ」と姉さまが突如口をはさみました。花曜はびっくりしました。姉さまに聞こえているとは思わなかったのです。
いつものとおりの、見てないような目で姉さまは言いました。「今日太陽が沈まない可能性だってあるんだから、CPUだって抱っこしてたらいつか小さい子になるかもしれない」
「もう、沈んだよ」
「なら、登った太陽が沈まない可能性よ」
「CPUもお日様も熱すぎて抱っこなんてしてられないんだから」
「つじつまの合わないことをいわなきゃいけないのね?」と綿帽子は用心深く申しました。
「いいやそんなことない」と手袋屋が答えました。
「なにを喋ったって辻褄が合ったりはしないんだ。看板にそう書いてあるんだから。ナンセンス全自動生成ブログ」