「小さい子にお話を聞かせるのはいいわよ」と綿帽子は考え深げに言いました。
「そうだね。ドリトル先生や不思議の国のアリスはそうしてできあがったらしいよね」と手袋屋が言いました。
「CPUにお話を聞かせるって、ありかしら? 『ドリトル先生』が『お話』であることさえわからないのよ」
「『ドリトル先生』と『お話』という単語がよく一緒に出てくることくらいは知ってるかもしれない」
「きっとありよ」と姉さまが突如口をはさみました。花曜はびっくりしました。姉さまに聞こえているとは思わなかったのです。
いつものとおりの、見てないような目で姉さまは言いました。「今日太陽が沈まない可能性だってあるんだから、CPUだって抱っこしてたらいつか小さい子になるかもしれない」
「もう、沈んだよ」
「なら、登った太陽が沈まない可能性よ」
「CPUもお日様も熱すぎて抱っこなんてしてられないんだから」