「丸くすくえるディッシャーでぽんぽんぽんって三つカップに並べる盛り方よ。丸に三ツ星の家紋みたいに」
「三つ葉のクローバーみたいにですか」と綿帽子。
「そう、それよ」
扇で口元を押さえて口の中が見えないようにする古風な笑い方でした。綿帽子は映画の中でしかそれを見た事がなかったのです。扇じゃなくて手で覆うのもありだったはずでした。
「アイスクリームはいかが、三つ盛り? 四つ盛りにする?」
「見積もり…ですか」と綿帽子。
「ああ、若い方は知らない古い言葉よねぇ、うふふ。」
「そう、あれが気に入る人なら、そういう問でも平気なのよね。『傷つけあおう』ってよまいごとを唄いかけてきたおどけ物が、青龍刀を振るわれていましたよ」
「あれはこんにちはくらいの意味です。まず、声はかけません。招いていないものには難しい質問になります。中の猛犬を見たいのかとか、なぜ人はプチプチを見ると潰したくなるのか、とか」
刺青が見えるのは右手だけです。