「調律が大変なんだよね」とピアノの中の家ごと流れてきた白鼠の一家が言っています。壁に向かって喋るのはピアノではできません。一台でオーケストラと張れる音量だから。
「好きな人には合わせたいだろ」
「好きな人がいたらね」
「雨雲じゃなくて紅茶の河だろ」
何の作戦を立てているのかはわからないままでした。でも仲良しではあったようです。板の家のテーブルでしょうか。でも他の家でも藁のテーブルや、煉瓦のテーブルを使っていたようにも思えません。
三匹の子豚がテーブルに乗って流れてきます。作戦会議中です。
「レンガの家の壊れ方は面白かったね」
「日干し煉瓦の家がいつのまにか雨雲地帯の下にあったんだからまあな」
とにかく紅茶の河です。館は堅牢なのでいくら滝のような紅茶を生産しても平気でした。サモワールの台ですから、ここが崩れるとお話になりません。
(お話になっているかはともかく)
「大丈夫、ごく普通だ。全ての人が『自分は変わっている。特別だから言ってる意味、全肯定せよ、がわかってもらえない』って思ってるんだから。わかりやすい。同意できないだけだ」
自分にも自分の言葉がわかってもらえてないみたいでした。
ここも例外ではなく誰かが同意できる意味はないんですよ。ナンセンス(無意味)なんですから。
「読みにくいな。物語の態をなしていない。ナンセンスって言ってあるからですまないぞ」
全くです。
紅茶の河からお椀の船が流れてきたりしてもいいでしょうか。
自分は変わってるから、って言えばごく普通なことを書いてると思ってもらえるはず。
「フルーツなんておいしければいいじゃない。それにあれは内側に向かって花を咲かせているのよ」
「見た感じ花じゃないだろう。まあ、果物の花はたいてい地味な音無(おとな)しいものだ」